前回は、子どもが学習につまずくサインや、早く気づいて関わることの大切さについてお伝えしました。

今回は、実際に私が関わったお子さまのエピソードと、個別対応の具体例をご紹介します。
事例:小学3年生で一桁の足し算に苦戦
その子とは、小学3年生の1学期に出会いました。一桁の足し算でも指を使って数えている状態でした。
問題に取り組むまでに時間がかかり、やり始めても途中で止まってしまうことも多く、計算に対して苦手意識を持っている様子が見られました。
保護者の方も、「このままで大丈夫なのか」「学年が上がるにつれて、もっと差が開いてしまうのではないか」と、不安を感じていらっしゃいました。
つまずきの見極め:算数スクリーニング検査
まず私は、その子の状態を正確に把握するために、算数スクリーニング検査を行いました。
- 数の順序や量の認識
- 計算の手順の理解
- ミスの傾向
を丁寧に分析した結果、「計算ができない」のではなく、数字の順番や数のイメージが十分に育っていないことが明確になりました。
つまり、必要なのは「無理に計算問題を増やすこと」ではなく、土台をしっかり作ることだったのです。
個別対応の教材作り
スクリーニングの結果をもとに、その子に合わせた教材を作成しました。
🃏 数字カードつなぎゲーム
1〜10のカードを順番に並べて線でつなぐ教材です。「自己ベスト更新」を目標にすることで、楽しみながら数字を覚えられるようにしました。
🎲 数字サイコロボードゲーム
サイコロを振って進むマスに1〜12の数字を配置。止まったマスの数字を声に出して読んだり、指で数えたりすることで、遊びながら数の感覚を育てます。
📝 数字迷路プリント
ランダムに置かれた数字を順番につなぐ迷路プリントです。集中力と数の順番の理解を同時に鍛えられます。
これらはすべて、その子のつまずきに合わせて作ったオリジナル教材です。家庭でも取り組めるよう、簡単に準備できる形にしました。
「できた!」の積み重ねが変化を生む
こうした教材を使って少しずつ取り組む中で、子どもは自信を持つようになりました。
- 「迷わず進める」
- 「間違えない」
- 「自分で次に進む」
という小さな成功体験を積み重ねることで、表情や取り組み方も前向きに変わっていきました。
段階的なステップアップで大きな成長に
教材や遊びを通して”できる体験”を積んだ後、少しずつ難しいプリントや計算問題にも挑戦しました。
その結果、3年生の終わり頃には、3桁の足し算のひっ算も九九も、スラスラできるようになりました。
このエピソードから伝えたいこと
この子が変わった理由は、特別なことではありません。
- つまずきを正確に見極める(算数スクリーニング検査)
- その子に合わせた教材を作る
- すらすらできるところからスタートする
この3つを丁寧に行っただけです。

大切なのは、難しいところを無理にやらせるのではなく、「どこなら”できる”のかを見つけること」です。
適切なスタート地点を見つけてあげることで、子どもは自然と前に進めます。
おわりに
子どもを伸ばすうえで大切なのは、

「どこまでできるか」ではなく「どこから始めるか」です。
もし、お子さまの学習で気になることがあれば、「遊びながらできることは何か?」「どこなら自信をつけられるか?」という視点で見てみてください。
しかし、なかなか時間的な余裕のない方も多いと思いますし、実践するのが難しい方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは、専門家のアドバイスを受けるのもいいかもしれません。いっしょに、スタート地点を探すお手伝いをしてもらえます。
小さな成功体験が、成長の大きなスタート地点になるかもしれません。
お子さまの学習についてのご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
一人ひとりに合った関わり方を、一緒に考えさせていただきます。

